Aiello博士のマスク研究
Aiello博士のマスク研究の概要
- 2010年の論文でマスクのみの介入では有意差出せず
- 2012年の論文でもマスクのみの介入では有意差出せず
- 両論文ともマスクと手洗い消毒させた群では期間後半に効果有り
- Aiello2010はランダム化の不備等でメタ解析RCT論文で組込まれない傾向
Aiello博士は2010年と2012年に代表的なマスク介入のRCT論文[1][2]を掲載しています。
Aiello2010 では、学生寮を、マスクを着ける寮、マスクと手洗い消毒をさせる寮、何もしない寮とに分け、2006〜2007年のインフルエンザシーズンでの6週間のインフルエンザ様疾患(ILI)の罹患率を調べています。しかしマスクのみの介入では有意差のある結果は出ませんでした。
Aiello2012は、2007〜2008年のインフルエンザシーズンでの実験で、上記の問題点を改良して実施しています。しかし結果としてはマスク介入のみでは有意差のある結果は出せませんでした。
マスクと手洗い消毒させた群では、2010年の論文では4〜6週間目で効果有り、2012年の論文では3〜6週間目で効果有りとなっています。
Aiello2010では学生寮のランダムな割振りをどうやったのか分らない、またILIを示した患者の検査が不十分だとの指摘があり、コクランを始め、メタ解析RCT論文で組込まれない傾向にあります。「組込まれない傾向」はRCTメタ解析論文を比較する上で重要な指標になりますので強調しておきます。
参考文献